句ニキとは句日記のこと。してみむとて、するなり。
はげしい晴れ。今日はホッケの身離れが悪い日だった。
よく眠りたまさか歌ひ茶のころに
野茨の潰ゆるは火の散れるごと
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とにかく日焼け止めをな、歯磨き粉の隣に置くのは本当に良くない、私から言えることは以上だ。
石鏡かはせみがきて昼がきて
あかあかと武蔵が麦の吹かれけり
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カップ焼きそばが焼いていないと言うならば、おしぼりだって絞っていない。
透明な傘で莕菜のほとりまで
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過去の人気作がスピンオフでアフターストーリーを描き続けるせいで、本当の人気者だけは大人にならないでいられる、という観念が強化されていく。
夏の月楠の影のびちぢみ
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夜も明るい。他人の身なりを褒めたいと思っても、そういうのって軽率にしづらくて難しいね。
サングラス鱒を焼くのは俺がやる
オフの日のサングラスあり塵被り
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神奈川の女学生はいつも何か食っている。
コーヒーとサングラスいい波が来る
パラソルにモノキニでサングラスかな
走る子のための小さなサングラス
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弱い風。かちくポケモン、ウマイアブラ。
食思ありわづか許りの涼しさに
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真面目な靴を買った。足の計測してもらったら「ご自分では気づかれないでしょうけど、あなたの足は歩くとすごく疲れる形です」と衝撃的なことを言われた。歩き手としての自負が脆く崩れた。
月末が夾竹桃がまた人が
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晴れてよかった。小さなわさびを植えてきた。
屈まれば山葵の花に水押し寄せ
道連や毟る石菖嗅がせ呉れ
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とてっぽうもない雨。
通話いつも努力むなしくよく茂る
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山手線で座っていると停車駅で老婦人が乗ってきて、端の人が席を譲った。一と駅進むと老婦人Bが乗ってき、端から二番目の人が席を譲った。自分はイヤホンを外した。次の駅に着くと乗ってきた老婦人Cに声をかけた。気づかいの輪。
六月と考へてゐるゆで卵
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列島を雲が貫いている日。覚醒の先には必ず眠りがある。
大水のあとなる凪の三柏
ひと雨をあけて雲浮く芒種かな
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