句ニキ 2023年大暑

句ニキとは句日記のこと。してみむとて、するなり。

持っていることをわかってて同じ本を買うのはままあることだけど、買った本を持っていることに気づいてなかったのは初めてだ。

ひまはりの上向く上へ虫たかる
病葉かどうか分らず落ち着かず

箱根登山鉄道の乗車券は略したらザンテツケンだなあ。

青梅実梅SUVがばつと踏み
老松浴衣あるところまでかけ足で

日々の払いの九割近くをクイックペイで済ませていて、ほとんど不満はないが唯一気になるのは支払い時の音だ。もうあと一歩普遍性のある音がある気がいつもしてしまう。

あぢさゐや花の終はりは骨と散らし

不老不死という題材はほとんどが自らに及ぼす影響を云々するものという感触があるが、生きている人は死んだことがないのだから、どちらかというと自然な感情としては、もう他人に死んでほしくない、という他者が死なない想像の方が先に来るものなんじゃないだろうか。

このところ気になるバナナ買はんのだが

周年イベ後の方がなぜかdbd熱が高まる。

蒲の穂のもとに霊界理論あり

歯医者でTシャツを褒められる。5000円払う。

甲子園の土で死にたい女の子

もぉしょ。。。

死出虫の子もここに住む石の道

部屋の中まで熱波。アモキシ試論。

滑り抜けたる汗の玉腰で消え

知らない人から持ち物について話しかけられ、その作り手に関して、お知り合いなんですか、と問われると、貪欲だな、と思ってしまう。

サンダルは貝ならすべて拾ふなり
育てたる夏の花みな名は知らず

嘘のように寝覚めがいい。

張り廻らすニコチン塩基業平忌

三回に一回はミネラルのことミュネラルって言うようにしている。

電話口に百日紅あり声詰まる
演技すや冷房温度下げんがため

もう死ぬほど暑くはない。子供のころはファイナンシャルプランナーってフィナンシェソムリエみたいなのだと思っていたものだ。なにせフィナンシェはうまいので。

梅雨明けのサイゼ騒がしササ菩薩
日焼け止め使ひきりたる喜びよ

毎朝苔むした時計を真正面に見据えるベンチで新聞を読んでいたのだが、今日ついに高圧洗浄機でぺかぺかにされた。ちゃんとやってるんだなあ。

小水の螺旋かはゆき大暑かな

句ニキ 2023年小暑

句ニキとは句日記のこと。してみむとて、するなり。

はやりがちな気持ちがいつも、玄関の鍵を開けるより先に靴を半分ほど脱がせている。

死ぬときは車の中で夏の朝

世の中にはクーラーをつけても暑い部屋もあるんです。そんなときはもう走ったりするしかないんです。涼しさを求めるんでなくて、走ったから暑いんだと納得させてストレス低下を図る狙いです。

鮮やかや仲夏檜の皮剝がれ
緑緑と小径犯せる屋敷林

えー看護師なの? じゃあ静脈注射してよ! っていう人は滅多にいない。

なら私が檸檬の汁を入れてあげる

麦茶を飲む量が目に見えて増えた。

冷房車こぞり持ちこむ湯気ぽうと

一人で飯屋の席をとるのは申し訳ないが、誰かと行くのもだるいというディレンマあります。

裏返る蓮の葉音のあからさま

全てを受け流す至高のなで肩なのでなまなかな雨では濡れない。

目が回るまでに睡蓮あさいらむ

歯医者で歯磨きを褒められる。5000円払う。

のうぜんや昼九つの中華そば

新聞を読んでいておやと思い調べてみたら、マヨネーズのキユーピーのユは小さくないのが正しい表記なのだという。なによ。いいね。

夏の日のご飯がなくてどうするよ

フェス始まんのかって湿度。井の頭線の名前が仮にインノケンティウス3世に由来しているとするならきっと住んでいたのは東松原。

青楓泡立つごとし影もなほ
日よく透くる赤や風鈴仏桑花

体重計を買った。ひと月で5キロやせていた。

夕暮で街がひたひた草いきれ
横たはりたきかに太藺長うあり

他人には一切話さないことができてから、暮らしが少しずつ快くなったような気がする。

夕方の夕菅にしてあるところ