花のころ

花のころ 20句

木蓮を空より剝がす日なりけり
春の鹿柴の編戸が毛束削ぎ
片栗や影のほころび花に帯び
烏の巣身に余る枝ばかりなり
その日一等大きな影を桜といふ
一団のさくら流るる土瀝青
光は青く花に衰へ知らずの夜
夜桜は病気の魚生きてゐても
聞き流すごとく桜の日は過ぎぬ
でも たぶん だけど 花屑 不登校
春の雨頭の痛み手に溢れ
落椿とりどり混ぜて寄せある輪
てのひらを椿は鞍にして進む
さしむかふ吾もなで肩甘茶仏
後にしてけふをきのふの花御堂
チューリップけーたいにたくさんねこさん
葉に花に漉きこむ夕べ山桜
日章旗つつじを朱く朱くして
二輪草匿はれたる蕾あり
むらさきは醒めたるものをえびねかな

いい日が続いた気がした。よく夢を見た。