ますように

ますように 20句

居眠りへ這ひよる夢を雪柳
飼へば吾は何遍死なす春の暮
鶯や止らざるなき息の緒に
桜蘂ふる音あまた立ててけり
谷あひは矢筈ゑんどう出づる塀
落椿いきほひ雨に破らるる
春の水昼の色より流れけむ
いいことがあり松の花ますように
一塊のさへづりの護謨鞠の形
小灰蝶走ればたはやすく靡く
うつとりと蜂に胡蝶に頃は藤
大根の花へ誰もが忘れし顔
桜草孫半斗より水のすぢ
なかよしで青木の花に額寄す
梨の花持してむばたまの黒きが蘂
ばらの芽に必ずとふことば必ず
笑ふまはりの春女苑の白が飛ぶ
春終る土のにほひを起しつつ
たんぽぽの這ひずり咲きが出口かな
ゆくさきも躑躅で埋めてありませう

口に出して言える言葉ばかりが素晴らしいというものでもないのだと最近思いました。