句ニキ 2023年芒種

句ニキとは句日記のこと。してみむとて、するなり。

はげしい晴れ。今日はホッケの身離れが悪い日だった。

よく眠りたまさか歌ひ茶のころに
野茨の潰ゆるは火の散れるごと

とにかく日焼け止めをな、歯磨き粉の隣に置くのは本当に良くない、私から言えることは以上だ。

石鏡かはせみがきて昼がきて
あかあかと武蔵が麦の吹かれけり

カップ焼きそばが焼いていないと言うならば、おしぼりだって絞っていない。

透明な傘で莕菜のほとりまで

過去の人気作がスピンオフでアフターストーリーを描き続けるせいで、本当の人気者だけは大人にならないでいられる、という観念が強化されていく。

夏の月楠の影のびちぢみ

夜も明るい。他人の身なりを褒めたいと思っても、そういうのって軽率にしづらくて難しいね。

サングラス鱒を焼くのは俺がやる
オフの日のサングラスあり塵被り

神奈川の女学生はいつも何か食っている。

コーヒーとサングラスいい波が来る
パラソルにモノキニでサングラスかな
走る子のための小さなサングラス

弱い風。かちくポケモン、ウマイアブラ。

食思ありわづか許りの涼しさに

真面目な靴を買った。足の計測してもらったら「ご自分では気づかれないでしょうけど、あなたの足は歩くとすごく疲れる形です」と衝撃的なことを言われた。歩き手としての自負が脆く崩れた。

月末が夾竹桃がまた人が

晴れてよかった。小さなわさびを植えてきた。

屈まれば山葵の花に水押し寄せ
道連や毟る石菖嗅がせ呉れ

とてっぽうもない雨。

通話いつも努力むなしくよく茂る

山手線で座っていると停車駅で老婦人が乗ってきて、端の人が席を譲った。一と駅進むと老婦人Bが乗ってき、端から二番目の人が席を譲った。自分はイヤホンを外した。次の駅に着くと乗ってきた老婦人Cに声をかけた。気づかいの輪。

六月と考へてゐるゆで卵

列島を雲が貫いている日。覚醒の先には必ず眠りがある。

大水のあとなる凪の三柏
ひと雨をあけて雲浮く芒種かな