句ニキ 2020年8月

句ニキとは句日記のこと。してみむとて、するなり。

遅く起きた。様々の森の夢をみるが、その多くは常緑樹で、しかも冬だ。

鹿垣の茲も苦もなくくぐられて

自転車に腕時計巻くと便利だよ。

原付で甚平のまた酒買ひに
帰るなりぱんつ一丁日向水

すんなり就寝。オクラがもともと英語なことにあまり違和感がないのは山上憶良がいるからだ。

こみあげてきて澄む水の面かな

雨が降りそうで降らなかった。トナカイはもともとアイヌ語で、もともとはどういう意味なんだ。

三部作あり朝顔の影垂らし

終日曇り。持ってきた飲み物をQiの充電パッドに置いてしまうほどの疲れ。

ベイブレードへベーゴマの騙しうち

眠れずいる。大丈夫だから、と人に言いつづけるとき、そう思いたい自分もいっしょにどんどん崖の際に立たされる。

抽斗にしまふ団扇や版権絵

厳しさは指先から来る。初めは気がつかないものだ。

ぴえんこえてぱおん豆叩くクラスタ

金がない。そんなこと言われてもお役人は意に介さないわけだけれど、まあ親身になられたところで気味が悪いが。

検見衆の眦ほそくせせり癖

この世が平和だと思ってるから他人が温厚に映るだけで、人間は基本的に怖いものだ。

九九もようでけん八月大名か

晴れ。日差しが重い。渓谷に来ると渓流はプールさながらの賑わい。川上へゆくと途端に静か。

糸の先むづかる鮎ら重うあり
はつかなるもみぢは青の中にあり
川の名を秋川と鮎しなりをり

寝られなかった。電車の始発の運転手はどうやって出勤しているんだろうか。

質と流れ八月キングセイコーよ
鉄骨に秋風まとふ二十坪

名付ける理由のあるものは必要なものだ。必要がないのに名前があるものは大切なものだ。いくつかのことを続けざまに考え、すぐに忘れる。なにを覚えていたいかという望みと、実際定着する記憶とは必ずしも一致はしないものだ。

このところ考へ淡しあづま葛
球遊び黄纐纈の林にて